松巌山 東園禅寺トップ > 法螺貝

法螺貝 住職の法話

令和二年五月発行

「閻魔様からのお知らせ」

 逝去した老人が死出の旅の道中、閻魔大王に会いました。この死人(しびと)、不服そうに閻魔様に抗議します。
「大王様、こうやって突然死ぬのなら私に死期が近いことを教えて欲しかったです。それを知っていたなら子供達にも孫達にも教えておきたいことがあったのに…。」
すると閻魔大王が答えます。
「何を言っておるか!ワシは度々教えたではないか!歳を取るに従ってお前の目が段々悪くなったのが第一の知らせ!お前の耳が段々遠くなって来たのが第二の知らせ!お前の歯が段々と欠けたり抜けて来たのが第三の知らせだ!お前の身体が老齢で衰えて行ったのは全てワシからの知らせだったのじゃ。お前はその知らせをまるで無視をしていたではないか!」
 これを側で聞いていた若くして命を落とした死人が言いました。
「大王!この老齢の死人には死を覚悟させるお知らせがあったようですが、私には若くして死んでしまいましたので、そんなお知らせは頂戴しておりません。私には遣り残したことがたくさんあります!」
大王は答えました。
「ワシは君にも知らせをやったぞ。君の家の東隣の家に四十歳で亡くなった者がいた筈だ。西隣の家には二十代で亡くなった者がいただろう。それから君の周りには十代で亡くなった者も、乳飲み子で亡くなった者もあったではないか。あれが全てお知らせじゃ。良馬は鞭の影を見ただけで走り出すと言うではないか。錐が皮膚に突き刺さってからやっと動き出す様ではどうにもならないよ。」(もとネタは『竹窓随筆』雲棲袾宏より) 
 生命は一つ。世の中に絶対はありません。「俺は大丈夫!」その慢心が死に繋がります。自粛の時間が大分長くなりました。しかし絶対に油断はいけません。これは新型コロナウイルス感染が拡大している今日だけではありませんよ。私達は常に死と隣り合わせ。時間を大切に!生命を大切に!しっかり生き抜きましょう!

 
東園寺 所蔵書画

東園寺で所蔵の書画をご紹介しています。

東園寺 中興開山

東園寺の中興開山である曹源祖水和尚(そうげんそすいおしょう)についてのお話がご覧いただけます。

布袋の袋 東園寺住職の塩釜中央幼稚園園長のブログ。
花園妙心寺 ご開山さま
塩釜中央幼稚園 われらはほとけのこどもなり
「塩竈中央幼稚園Facebookページ」