令和二年六月発行
「窮じて変じ、変じて通ず〜コロナ禍で感じたこと」
世界的に猛威を奮っている新型コロナウイルス。日本の緊急事態宣言は解除されましたが、外国では一度感染が収まってから再び感染が拡大した例もありますから、まだまだ油断してはいけません。
とは言えこのまま「疑わしきは自粛」の状態では経済が崩壊してしまいます。経済の崩壊は周り回って生命の危機に通ずることも多々ありますから、私達は用心しつつ社会を動かすべきなのでしょう。
さて新型コロナウイルス感染防止の為に本格的に自粛ムードが高まった3月以降、様々な憶測や不確定な情報が交錯しまくった日々でありました。さらにはマスク不足、消毒液不足、感染防止の防護服不足、そして何故かトイレットペーパー不足!これに不安を煽るメディアが拍車を掛ける悪循環…。テレビの報道はかなり不正確なものも多いと実感、いわゆるワイドショー的なものを見る習慣は消え去りました。
35万人以上の尊い命を奪った新型コロナウイルスは私達に様々な教訓と生活の変化をもたらしました。「絶対だ。」「必要だ。」と思えた習慣や産業のいくつかがこれを機会に消滅するとも言われます。我々に身近なところでは法事後の会食等がそうですし、さらに年忌法要もやらなくて良いのでは?などという空気もひしひしと感ずるところです。しかし年忌法要は亡くなられた方の供養と同時に自分自身を振り返る大切な儀礼ですので是非実施して頂きたいものです。
一方、自粛期間が自分自身を見つめ直す良い時間となったという声も耳にします。私自身も普段何気無く過ごしていた日常の尊さに改めて感謝出来ましたし、外食したり家族で出掛けたりするのが如何に有り難いことかを実感しました。皆さんは如何だったでしょう?
東園寺に関して言えば「花祭りの夕べ」「大回向」という年間行事の柱とも言える法要が寺内のみ厳修となり、法事会席も皆無でしたので布教活動、経営の両面でコロナウイルスの損害はあったのですが、これも震災後に肥大し過ぎた行事やイベントを見直す良い機会だったのかもしれません…。
全快には程遠い日本の経済状況ですが「窮じて変じ、変じて通ず」という言葉もあります。ピンチをチャンスに変える柔軟な発想をお持ち頂き、逆境を上手く活かして頂きたいと念願します。
末筆とはなりますが、新型コロナウイルスで亡くなられた方々の御霊のご安寧を心より祈念申し上げます。