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法螺貝 住職の法話

令和二年八月発行

「力と智慧」

 お盆は目連(もくれん)尊者が餓鬼道に落ちた母を救うためにお釈迦様の勧めによって行った「施し」に由来しています。餓鬼道とは食べ物が満足に口に入らぬ世界。食がままならず痩せ細り変わり果てた姿となった母の為に目連尊者は神通力で食物を運びますが、その食物を食べようとするとその食物はまたたく間に炎に変わり、どうしても目連尊者は母を救うことが出来ません。自分の力ではどうすることも出来ないと悟った目連尊者は、これをお釈迦様に相談します。するとお釈迦様は「7月15日に僧侶達は3ヶ月の安居を終えて、自恣(じし)と呼ばれる懺悔を行い心清らかとなる。この修行者達に施しをなせば、きっと君の母は救われるであろう。」とおっしゃいます。
 目連尊者の母は自分と自分の家族には慈愛深い人でしたが、他には冷淡であった報いで餓鬼道に落ちていたのです。ですからお釈迦様は亡き母の為に、他者に対して施しをする事を勧められたのでしょう。目連尊者がお釈迦様の教え通りに僧侶に施しをすると、母は見事に救われたと伝えられます。
 前置きが長くなりました。これは中国で出来た偽経と言われていて歴史的な事実では無いとされていますが、ここで大きなテーマとなっているのは「施し」という慈悲行とそれを生み出す智慧が神通力に勝ること。
 修行を一所懸命に行うと副次的に身に付く不思議な力である神通力を、仏教は是としません。問題に強い力で対処するよりも先ずは真実を洞察し、自らの心のあり方を鎮め、原因に対し上手に対処することを仏教では大切にします。お盆の由来からスタートした話でしたが、意外な結論だったかも知れませんね!

 
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