令和二年九月発行
「ものを活かすも殺すも自分次第!」
「王様に大きく成長する瓢の種を頂いたものだからこれを大切に育ててみると、王様のおっしゃる通り大きく成長して5石(不確かですが95リットルと言われます。)の水が入るほどなのです!しかし大き過ぎるということは不便ですなぁ。水を入れたら重くて運べませんし、それを引き裂いて柄杓にしようとしたら平べったいものだから水など汲めません。」
友人の恵子(けいし)がこう言うと荘周は憮然として答えます。
「宋に絹綿を水に晒すのを生業にしていた人がいました。冷たい水を使う仕事ですから本当は手が荒れるのですが、この人はあかぎれ止めの薬を作る技術を持っていて、これが良く効くので家中の人は誰も手荒れに悩まされることはありませんでした。
その薬がとてもよく効く事を知ったある旅人はこの薬の調合を100金で買おうと言い出しました。絹綿の職人は薬の調合方法を100金で売り渡して大喜びしていたが…。
この旅人は呉王にこの技術を教えて、この薬のおかげで呉の戦士達は水上戦でもあかぎれ知らず!越の国との間で起こった極寒の戦を有利に運ぶことが出来たのです。呉王はこの旅人に感謝し、なんと領地を与えたと言います。同じあかぎれの薬でも家中の者の苦しみを癒すのみで終わることもあれば、それを利用して領主となることもあるのです。
恵子君!5石も入る瓢があれば、それをくり抜いて大樽の船にし、大河や海に浮かべて自由な天地を楽しめば良いではないか!」
省みられぬものにも何かしらの可能性がある!そう思ってうず高く積み重ねられた空き箱や包装紙の中で暮らす私ではありますが、どうしようも無い事柄の中にも光明ありと思い世の中を注視したいものです。