令和三年二月発行
「曲江筆涅槃図について」
河北新報等で報じられた通り、當山所蔵涅槃図(小池曲江筆)が令和2年12月23日に塩竈市指定有形文化財に指定されました。これも偏に法縁と同図の作成保存に尽力された先人の努力の賜物と感謝致しております。また文化財指定に関する諸手続きにお手伝い頂いた関係各位に心より御礼申し上げます。有難うございました。
當山所蔵の涅槃図は佐浦家を施主として、塩竈出身の絵師小池曲江によって文政4年(1821)に描かれ、鹽竈神社の別当寺である法蓮寺に奉納された作品です。神仏分離令により明治3年(1870年)同寺が廃寺となると、佐浦家の尽力により同家の檀那寺である東園寺に移され、爾来、當山においてお釈迦様の教えを学ぶ縁(よすが)として涅槃会に荘厳、多くの方々に仏縁を結んで頂きました。今後は當山の寺宝というだけでなく、地域の宝として長く後代に伝えて行けるよう努力して参ります。
「忍の徳たるや持戒苦行も及ぶこと能わざる所なり」
これはお釈迦様の最後の説法であるという設定で作成された『遺教経』の言葉です。日常生活を生きる上で経験する様々な苦難を粛々と乗り越え、自分自身をコントロールして生きることは、宗教的な修行や戒律を守る以上に大切なことであるという意味です。長いコロナ禍の生活にあって各位も様々な労苦をお感じの事と存じますが、人間の一生は修行であると申します。今は修行の中でも少々頑張りどきであるとご理解頂き、自分自身と周りの方々の生命を守る行動をお取り頂くようお願い申し上げます。