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法螺貝 住職の法話

令和四年十二月発行

「成道会(じょうどうえ)」

 先日、瑞巌寺の境内を歩いていると外国人の青年に声を掛けられました。彼は私が履いていた地下足袋シューズに興味をもったようで、彼の流暢な日本語と私の辿々しい英語で楽しい交流が生まれました。彼はモルモン教の宣教師。震災前には自転車で颯爽と移動するモルモン教の宣教師ですが、震災後はあまり見掛けなくなったような気がします。昔は東園寺に遊びに来るような宣教師もいたのですが…。
「英語を勉強しませんか?」「クリスマスに来ませんか?」熱心に誘って来る彼らに「自分はピュア・ブッディストだからクリスマスはしない。十二月はお釈迦様が悟った月なのでこっちの方が大切なのです。」と説明する私。そう!十二月八日はお釈迦様成道会。釈迦族の王子ゴータマ・シッダールタ様が六年の修行の後にブッダと成られた日で、道を成し遂げたという意味で成道会と呼ばれます。
日本の仏教は本家本元のお釈迦様よりも各宗派の開祖を大切にする傾向がありますので、本来、仏教徒にとっては最も大切な日である成道会も日本ではやや影の薄い状況にあるのは否めません。私も住職就任以来、先住の頃から行っている成道会のお勤めに加え、成道会カードを送ったり、寺宝展などの行事を行ったりと、成道会の周知に努めていますが、あまり成果は上がっていないのです。
 死の恐怖から逃れる為に出家し、精進に精進を重ねて大悟し、その悟りの働きである慈悲で私達を導いてくださるお釈迦様。この文章を読んだ方はお釈迦様と何かしらのご縁があるのだと思います。是非、十二月八日成道会を心にお留めください。最後にお釈迦様の金言をご紹介致します。

若し ひと おのれを愛すべきものと知らば
つつしみて おのれを護るべし 心あるものは
三時(みとき=朝昼晩の意)の一において きびしく
おのれを省みるべし (法句経 一五七)

 
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