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法螺貝 住職の法話

令和五年四月発行

「七歩歩む」

 四月八日はお釈迦様の誕生日。全国のお寺で降誕会(ごうたんえ)や灌仏会(かんぶつえ)という法要が営まれ、お釈迦様のご誕生を祝います。
 釋迦族の王子として誕生したお釈迦様はお名前をゴータマ・シッダールタとおっしゃいます。我々が慣れ親しむ「お釈迦様」という呼び名は釋迦族の聖者とも訳すべき「釈迦牟尼仏」を省略したものです。日本では一般的ではありませんが、最勝なる牛という意味のゴータマを付してゴータマ・ブッダとも呼ばれます。
 さてお釈迦様はお母様がお産の為に実家へ帰る道すがら、ルンビニー園の無憂華がとても綺麗だったので、お母様が一枝折ろうとしたときにその脇の下から産まれました。お釈迦様は誕生するとすぐに東西南北四維上下を見つめ、それぞれの方角に七歩歩んで、片方は天を、もう一方の手は地を指差して「天上天下(てんじょうてんげ)唯我独尊」とおっしゃったと経典は伝えています。
「天上天下唯我独尊」という言葉、日本では様々な意味で解釈されますが、この言葉に続いてお釈迦様は「これ私にとって最後の誕生で、二度と輪廻することは無いだろう。」と宣言しています。日本ではあまり触れられない「二度と輪廻しない」という言葉の背景には、仏陀になること=解脱=輪廻から自由になることというインド仏教の理想があるのですが、中国や日本の仏教ではあまり浸透しなかったようです。
 輪廻は生前の行いによって地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天という六つの世界を生死流転することで、生まれ変わりには大変な苦痛を伴います。お釈迦様が七歩歩んだという逸話は六道を一歩乗り越えることを表しています。時に日本の仏教では六道を我々の執着から生まれた現実世界のものと捉え、様々な執着を解決して六道という迷いの道を乗り越えるのが悟りや解脱であると理解します。
 この考え方、インドの仏教とは遠いところにありながら、実はお釈迦様の教えそのものであると私は思います。限られた人生の中で今の時間を大切にしよう!その為に自分自身をしっかりと調えよう!このように現実をしっかり見据え、日常をいきいきと生きることこそが仏法の真髄です。

 
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