瑠璃光 平成十八年十二月四日発行
『 お釈迦さまお悟りの日 』
十二月八日は成道会―お釈迦さまがお悟りになられた日です。ご承知の通り釈迦族の都カピラ城の王子として誕生されたゴータマ・シッダルタ王子は二十九歳で修行者となり、三十五歳で悟りを開き佛となります。日本では佛というと亡くなられた方を指すことが多いようですが、佛とはインドのサンスクリットという言葉のブッダ=佛陀の陀を省略したもので、人格完成者という程の意味の言葉です。佛という文字はブッダというインドの言葉を表現するために中国で作られたものであります。「佛」と似た文字に「沸」がありますが、この文字を見ると佛という文字を作った当時の中国人の佛に対するイメージを理解することが出来ます。沸という字は+弗から構成されますが、には云うまでも無く「水」の意、弗には「あらず」「ほのか」という意味があり、水が沸騰している状態、すなわち液体とも気体とも云い難い状態を表現しています。佛という字も同じ要領で、人を意味するイと弗の組み合わせですから、人間であるけれども、人間と呼ぶにはあまりにも偉大な存在である覚者を表現する言葉となっています。
さて佛という文字の背景とは裏腹に、お釈迦さまが肉体的には、ごく普通の人間であることを説いている教典も少なく有りません。お釈迦さまが頭痛持ちであったとか、最後は赤痢のような病で亡くなったとか、普通ならば隠したいような教祖の弱々しい姿を後代に伝えたのが佛教の面白いところです。中国の経典の翻訳者が人であって人でないという尊意をこめて作った佛という文字ですが、元来佛教はお釈迦さまも我々も同じ人間であることを説き、人間は精進により、限りなく向上できることを教えてくれているのです。●坐禅会 毎週日曜日朝7時
●法話会 1月9日午前10時