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法螺貝 住職の法話

平成十九年五月発行

『水清ければ月現れ 心淨ければ佛現る』

表題は松島瑞巖寺中興開山雲居希膺(うんごきよう)禅師の法語に見られる言葉です。雲居禅師は本邦の禅僧には珍しく念佛を衆生済度に用いた方で、表題の言葉の前文には次のような文句が添えられています。

佛陀の来迎は敢えて西より来るに非ず
凡夫の往生は敢えて西に向かって往くに非ず
譬えば一月の衆(もろもろ)の水に映るが如し
月は地に下らず 水は天に上らず
水清ければ月現れ 心淨ければ佛現る
(佛さまのお迎えはあえて西から来るのでもなければ、我々迷えるものが西に向かって往生するのではない。たとえば一つしかない月が方々の水面に映るといっても、月は地に下らないし、水が天にのぼるわけではない。水が清ければ月は水面に現れるし、心が淨ければ佛はそこに現れるのである。)

人間は感情の生き物だそうですが、確かに私たちの生活を省みると、心のおきどころによって物事は様々に異なって感じられるものです。水面に波紋があれば月はゆがんで見えるように、私たちの心の起伏が激しければ、世の中もゆがんで見えるでしょう。ことに情報が洪水のように溢れる現代は、心の水面に四六時中石ころが投じられているようなものです。

心の水面を穏かにするのには、寺参りやお墓参りも悪くありませんよ。
 
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