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法螺貝 住職の法話

平成二十年三月発行

『佛蹟巡拝 その三 サルナート』

サルナートはヒンズー教の聖地バラナシの郊外に位置します。ガンジス河は聖なる河として信仰を集めていますが、バラナシのガート(沐浴場)は数ある沐浴場の中でも最も有名な場所で、ガート周辺には火葬場、アシュラムと呼ばれる修行施設、さらにはヒンズー教寺院が林立しています。細い道筋に仏具屋や食品店などが立ち並び、牛や野良犬が闊歩する様子は最もインドらしい風景を残す街と言っていいでしょう。バラナシは古くはカーシーと呼ばれ、絹織物の産地として仏教経典にも登場します。サルナートはお釈迦様が旧友五名に法を説き、それぞれを心揺るがぬ境涯へと導き、さらにはヤサという現地の富豪の息子及びその友人を弟子とし、ヤサの両親を信者として得ることにより、仏と教えと教えに集う仲間という所謂、仏法僧の三宝が誕生したところです。この出来事を初転法輪と呼びます。

早朝のガンジス 暗い内がキレイ(?)

サルナートで説かれたお釈迦様の教えは四諦八正道(したいはっしょうどう)です。四諦とはこの世は苦に満ちているという真実(苦諦)苦しみの原因は煩悩妄執であるという真実(集諦)妄執を絶つことが悟りであるという真実(滅諦)妄執を絶つための実践(道諦)の四つを言います。そしてこの修行として八正道が説かれるのです。四諦の教えを見るとお釈迦様の教えとは非常に合理的であることに気付かされます。お釈迦様は神々や魑魅魍魎に左右され生きている人々に、自らの行いを清め、善行を積む事により人生は変えられるという事を説いたのです。神秘の国インドの中でも、最も宗教性の強い街であるバラナシ周辺で説かれたシンプルで合理的なお釈迦様の教えは、二五〇〇年前の人々にとって画期的にして新鮮なものだったに違いありません。

ダメークの塔の壁面

(蛇足)サルナートの博物館にはインドの有名な四頭獅子を載せたアショカ王柱が安置されています。このアショカ王柱に刻まれるタイヤのスポークの様なマークは法輪と呼ばれる仏教の象徴です。このシンプルな法輪はインドの国旗の中心にも画かれていますが、これはアショカ王が初めて全インドを統一した方だからです。當山の本堂の戸帳や打敷等には総てこの法輪を入れています。通常日本で使われる法輪は外周に飾りが着いていますが、お釈迦様の教えの原点を見つめ直すことを自戒する為、當山では原初の法輪を使用しているのです。

 
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