雲居希膺禅師「十悔章(じゅうげしょう)」
師に逢うて学ばざれば去りて後ち悔ゆ。
賢に逢うて交わざれば別れて後ち悔ゆ。
義を見て為さざれば過ぎて後ち悔ゆ。
危を見て遠ざからざれば陥いりて後ち悔ゆ。
主に事(つか)えて忠ならざれば退いて後ち悔ゆ。
親に事(つか)えて孝ならざれば喪(うしな)いて後ち悔ゆ。
財を得て散ぜざれば失いて後ち悔ゆ。
国を得て仁ならざれば乱れて後ち悔ゆ。
因果を信ぜざれば報いし時悔ゆ。
菩提を信ぜざれば死ぬる時悔ゆ。
萬事一たび失えば悔ゆとも回(かえ)らず。
君に勧む平生要(かなら)ず悔い無からんことを。
希膺(花押)